しゅっせぼら(出世螺) [shussebora]
-
深山(しんざん)にはほら貝(かひ)有(あり)て、山に三千年、里に三千年、海に三千年を経て竜と成る。是を出世のほらと云。昔より有ことにて、遠州今切のわたしもほらのぬけたる跡也と云。ほらの肉を食へば長寿を得ると云。貝は山伏のふく物なれば、実も食したる人は有べし。ほらをくひて長生したる人をきかず。かく禍する物をくひて長生したがるべからず。嘘いふものをほらふくと云もかゝる事よりや出けん。 『繪本百物語』−桃山人夜話−
- 「法螺貝が山に三千年、里に三千年、海に三千年、計九千年生きると出世して竜になるよ。
遠州今切のわたしも法螺貝から竜が抜けた跡だってさ。
法螺貝の肉を食べると長生きするって言うけど、実際長生きした人を聞いたことがないから嘘だよね。
嘘つきをホラ吹きって言うけど、この事からだろうね。」と、こんな感じ。
雷鳴轟く嵐が起こり、山がにわかに振動する。
このような時は、法螺貝が竜に出世し大地から抜け出る時だと。
これを『法螺ぬけ』と云うそうだ。
貝が出世するところは“栄螺鬼”と似てるな〜。
「海千山千」... 海に千年、山に千年生きた蛇は竜になる。
山三千、里三千、海三千、同じ竜に成る為とはいえ、法螺貝は蛇よりハードだなぁ〜。