みぞいだし(溝出) [mizoidashi]
- ある貧人(ひんじん)の死(し)したるを、すべきやうなければつゞらに入(い)れて捨(すて)てたりしに、骨(ほね)と皮(かわ)とおのづから別(わかれ)て、白骨(はくこつ)つゞらを破(やぶ)りておどりくるひしとぞ。 『繪本百物語』−桃山人夜話−
- ある貧乏人が亡くなり、周辺の人達は処分に困り亡骸を葛篭(つづら)に入れて辻に捨てた。
すると亡骸の骨と皮がひとりでに分かれて白骨となり葛篭を破り踊り狂ったとある。
どんな人間でも死者を粗末に扱ってはいけないと云う意味のようだ。
昔は墓を作れるのは高貴な人だけで、庶民は大体亡くなると野ざらし(風葬)であったそうだ。
野犬やカラスに喰われ、人が朽ち果てる様が怪異そのものだったのかもしれない。